インスタグラマーの私に企業から商品が。受け取ること自体で副業になる?

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企業から商品が送られてきた。

ある会社員はインスタグラマーとして、プライベートの時間にインスタグラムで自分のファッションやメイクの写真をアップしていた。

フォロワーも増え、そこそこ知名度が上がってきたある日、企業から化粧品が送られてくるようになった。

「その化粧品をインスタグラムで紹介するかしないかは、本人の意思に任せる」とされている。

しかし、会社の就業規則で副業は原則禁止とされているため「無償で商品をもらう」ということ自体が副業になってしまうのではないか不安だ。

商品を無料でもらう=副業?

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副業にはあたらない

副業の定義は法律上明確に決まっていませんが、企業がインスタグラムで紹介することを期待して一方的に送ってきた商品をもらうだけでは副業にはあたらないと言えます。

業務と言えるためには「ある人が、ある一定の行為をする対価として、金銭等をもらうこと」が大前提となります。

上記の場合、企業と会社員との間では商品の紹介について何の取決めもなされておらず、無償で渡される商品は、会社員の行為の対価として送られたものではありません。

法律的に見れば、会社員は単に企業から商品を贈与されたに過ぎず、企業との間で何の業務もしていないのです。

勤務会社から処分を受ける可能性も無い

上記のとおり、企業から勝手に送られてくる商品をもらうだけでは、副業にならないため、勤務する会社に黙ってその商品をもらっていたとしても、副業を理由に処分を受ける可能性は無いと考えられます。

 

商品を紹介することが条件になっていたら?

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副業にあたる

では、少し事情を変えて、会社員が企業との間で、商品を紹介することを条件に商品を送ってもらい、また、紹介料として金銭をもらっていた場合はどうでしょう。

この場合は、会社員と企業との間で「商品をインスタグラムで紹介(宣伝)する」という内容の業務について取決めをし、商品の紹介の対価として商品や紹介料をもらっていることになりますので、副業にあたるといえるでしょう。

法律的に、会社員は企業から商品宣伝業務を請け負っているということになるのです。

勤務会社から処分を受ける可能性は?

副業にあたる以上、この会社員が勤める会社では、本来は会社に許可を得て行わなければなりません。

会社に黙って、商品の宣伝をしていた場合、勤務する会社から何らかの処分を受ける可能性があるのでしょうか。

会社は、従業員の取り組む副業が問題かどうかを大抵の場合、以下のような観点から判断するものと思われます。

  1. 副業が本業に支障をきたすか(労働時間数、労働の時間帯など)
  2. 副業の内容が企業秩序を害するものか
  3. 副業先と本業が競業関係にあるか

インスタグラムでの投稿は、長時間の拘束を伴うとは考えられませんので、①は問題ないと思います。また、企業から送られてきた商品を写真に撮って紹介することが企業秩序を害する(②)ということも想定しづらいところです。

ただ、③については多少注意が必要かもしれません。

例えば、今回の会社員がAという化粧品会社に勤めていたとします。その場合に、Bというライバル化粧品会社からの商品宣伝業務を請け負い、日々B社の商品を良い商品として紹介していたとします。

会社員の勤務するA社として、そのような副業は好ましいでしょうか。

A社は、B社などの同業者との競争に勝つために日々、企業努力をしているにも関わらず、身内である社員が企業努力に反する行動をしていることを問題視しないわけにはいかないと思います。

そのような場合に、会社からどれほどの処分がなされるかについては一概に言えませんが、何らかの処分がされることになるのではないでしょうか。

 

副業と本業の会社同士の関係性にも配慮を

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インスタグラム、Facebook、Youtube…様々なネットコンテンツがある現代においては、誰でも気軽に情報を発信できる社会となっており、収入を得る方法や事業の機会も幅広くなっていると思います。

気軽に副収入が得られる現代であるからこそ、本業と副業との関係などに敏感になるべきではないでしょうか。

【執筆者】
楠瀬 健太(くすのせ けんた)


中央大学法学部を卒業後、一橋大学法科大学院を経て、弁護士に。神奈川県下最大規模の弁護士数を誇る横浜綜合法律事務所に所属。労働問題を始めとする民事全般 から刑事事件まで幅広く取り扱っております。難しく思える法律をできる限り分かりやすくお伝えいたします。


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横浜綜合法律事務所