大手家電メーカーのマネジメントからフリーエンジニアへ。きっかけはスマホの台頭とガラケーの衰退

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大学院生時代に画像認識の人工知能の研究に従事。画像関連で当時の最先端を走っていたフィーチャーフォンのカメラ開発に携わるために大手家電メーカーへ入社した川村さん。

スマートフォンの台頭とフィーチャーフォンの衰退を目の当たりにし、大手家電メーカーのマネジメントからフリーエンジニアに転じたその理由やフリーランスとしてのお仕事ぶりを聞いてきました。

当時のフィーチャーフォン開発は、時代の最先端

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--前職ではどのようなお仕事をしていたのですか?

前職では、大手家電メーカーの携帯電話、フィーチャーフォンの開発部門の中でも先行開発を行う部署のソフトウェアエンジニアとして在籍していました。

入社当時は2002年で、まさにフィーチャーフォンの最盛期でした。私はもともと大学院で画像認識の人工知能の研究をしていました。そして、卒業のタイミングとフィーチャーフォンにカメラ機能を搭載するというタイミングが重なり、画像に関する知見があった自分が、縁あって入社したというわけです。

先行開発というのは具体的に、商品そのものの開発より、商品企画の前段階の研究開発、プロトタイプの開発をするような仕事です。フィーチャーフォンという技術全体も知ることができましたし、何より時代の最先端の技術に触れることができました。

個人的に最も思い入れ深いのは、やはりフィーチャーフォンにカメラが搭載されたことです。大げさではなく、人々の生活が変わった瞬間を目の当たりしました。いままで写真なんて何かイベント事がある時にしか撮らなかったのですが、今では日常的に、当たり前のように撮られています。その他にも動画のストリーミング技術やWifiに関することなども手がけていました。

そして、ちょうどその時に台頭してきたのが、スマートフォンです。すごい勢いでスマートフォンが市場に浸透して行くのを目の当たりにしましたし、私自身の仕事もスマートフォン向けの開発に携わるようになりました。

開発者としてメーカーである必要性が少なくなった

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--フィーチャーフォンとスマートフォンの開発では何が最も大きく異なるのですか?

まず、技術的な違いは正直そこまで無かったです。OSはフィーチャーフォンと同じくLinuxですし、言語もC、C++、そしてJAVA等なのですが、どれも親しみがあり、苦労はありませんでした。

一方、最も違った点としては、

  • フィーチャーフォン:ユーザーは、買ったものをそのまま使う
  • スマートフォン:ユーザーは、自分専用にカスタマイズして使う

という「ユーザーの使い方」かなと思っていて、開発者側のやることが大きく変わりました。

フィーチャーフォンは、多少アプリを入れることができたりしますが、基本的にプリインストールされているアプリをユーザーは使います。したがって、開発者としては「どうすればユーザーに最も喜んでもらえるか」を考える余地がふんだんにありました。そのため、当時はメーカーや機種ごとに特徴がありました。

一方、スマートフォンの場合、「ユーザーが自分専用にカスタマイズして使う」という思想です。もちろんデザインなどが違ったりしますが、基本的にはどれも一緒で、あとはユーザーが使いたいアプリをスマートフォンに入れて、自分専用にカスタマイズしていくという使い方。

そうすると、メーカーの開発者側としては特徴が出しにくくなってきて、例えば「できる限り軽い方が良い」とか「電池持ちは良い方が良い」とか、基本的な数字のスペックを上げることに一生懸命になるんです。結果的に、必ずしもメーカーである必要性が少なくなったように当時は感じました。

ユーザーに喜んでもらう仕事をするために、フリーエンジニアへ 転身

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--なぜ退職をしようと思ったのですか?

一概にこれだという理由があるわけではありませんが、自分自身が「ユーザーに喜んでもらえる仕事をしたい」という軸がある中で、もはやメーカーに在籍し続ける理由が無くなったこと。

その他にも、開発の現場よりもマネジメントにウェイトがシフトしていったこと。マネジメントも楽しかったのですが、どうしても技術的な課題の解決やモノを作るといったことに時間を割くことができず、チームメンバーが円滑に仕事をするための仕組み作りが仕事のメインになってきました。

また、ちょうど勤続10年目の節目で、この先もこの仕事を続けるのかと考えていた時期でもありました。

それらのことが複合的に重なって退職しようという判断に至りました。

 

--そこからどうしてフリーランスになったのですか?

最初はどこかの企業に転職をしようと思ったのですが、どの求人を見てみても「誰の役に立つのか」がいまいちピンと来なかったんです。

そこで、改めて「世の中にはどんな仕事があるのだろう?」「自分が本当にやりたいことは何だろう?」ということを深く考えるようになりました。

その中で、別に正社員として企業に勤めるという形でなくとも、フリーランスという働き方があることを知り、フリーランスも十分にユーザーに喜んでもらえる仕事ができると感じたためです。

 

--企業勤めとフリーランスでは何が最も違いますか?

「動きやすさ」ですかね。もちろん、法人と個人なので当然なのですが。

企業に所属していた時は、大きなお金が動くので、しっかりと契約書を締結し、契約内容に沿って開発を進めていきます。開発を進める中で「ここをこうしたら、もっと良くなるのでは無いか」と思ったとしても、全体の工期やその提案にかかる時間、実際のコスト等を考えると、なかなか言い出せません。そのため、仕事なので責任を持って全身全霊で取り組むものの、どこか心に小さなストレスを感じながら仕事をしていました。

一方、フリーランスはあくまで私個人との契約なので、全部が私の責任になります。だからこそ、逆に動きやすいというか、「もっとこうした方が良い」と思ったら自分の裁量で、契約自体を変えることができるし、より良い提案をすることも可能です。

もちろん、どちらが正しいという話ではなく、私は後者のような働き方をしたいと思っていました。どうせやるなら全員が満足できる形で仕事がしたいです。

現在では、開発の案件として約束したことを完遂するというのも大事ですが、それ以上に「クライアント様のビジネスのお手伝いをさせてもらう」くらいの気持ちで、多少おせっかいかなと思うようなことでも提案や相談するようにしています。

フリーエンジニアの魅力とその働き方、こだわり

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--現在は、メインでどのようなお仕事をしているのですか?

メインは、Androidスマートフォンアプリの開発です。元々、フィーチャーフォンやスマートフォンの開発をしていたこともあるので、技術としてのアドバンテージがあると思っています。

お仕事に関しては、個人的なつながりで案件を受注したり、あとはクラウドワークス等のクラウドソーシングサービスも使ったりしています。

クラウドワークスでは、子供向けのスマホ・タブレット用絵本アプリの開発を受注したりしていました。単純な絵本ではなく、画面タップで音が鳴ったり、アニメーションが動いたりするインタラクティブで楽しい絵本アプリです。

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それ以外にも、「iOS版アプリのAndroid版の開発」という案件は多く請けています。

特に日本だと「スマートフォンアプリはまずはiOS版」という考えが多いと思いますが、iOS版がリリースされて軌道に乗ってきたら「次はAndroid版を開発しよう」という流れが多いように思います。

このようなタイミングで、クライアント様側で「人的なリソースが足りない」「iOSのエンジニアはいるけど、Androidのノウハウがあるエンジニアがいない」といった問題が多くあるみたいです。

そういった背景で「完成したiOS版があり、それをベースにAndroid版を開発してほしい」という案件をいただいて、協力させていただいたことは何度かあります。

具体的には、仕様書やiOS版のソースコードをご提供いただいて、それを元にAndroid版を作る場合もあれば、ソースコード無しで、iPhoneでiOS版アプリを動かしながら仕様を確認してAndroid版を作るといったやり方など、様々です。

iOSとAndroidでは、端末のボタンも違えば、UI/UXの考え方でも違うところが多々あります。そういった場合は、クライアント様にご提案・ご相談させてもらいながら「iOSと同じにするところは同じにする」「Androidらしくあるべきところは変える」という判断を都度心がけています。

 

--フリーランスのエンジニアとして働く上で気をつけていることは?

エンジニアなので、自宅で仕事をすることが多いです。自宅が生活場所兼職場になるので、仕事をする時は「今、自分は仕事をしているんだ」と意識的にマインドセットをするようにしています。

その他には、1人で仕事をしているとどうしても目の前のことに集中してしまうので、全体感を見失わないように気を付けています。大げさな言い方をすれば、全体を俯瞰してタスクの優先度や期限などを客観的に定める「マネージャーの役割」と、「実業務をする役割」を、一人二役でやっているような感じでしょうか。

例えば、朝起きてから「さあ、仕事を始めよう」という前に、企業に所属していた時にやっていたような朝会を1人でやります。具体的には、「昨日やったことは何か」「今日やるべきことは何か」「どういった順番で取り組んでいくか」を、ホワイトボードがあるので、そこに付箋でペタペタと貼って管理をしています。一歩引いて客観的に、全体を把握してから仕事に取り掛かるようにしています。

 

--自宅で働く上で、環境へのこだわりは?

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こだわりかどうかは分かりませんが、「効率的に仕事ができるような環境」にすることは意識をしています。

例えば、タスク管理のために、先ほど述べたようなホワイトボードと付箋があります。

その他には、ラップトップの画面ではどうしても狭くて作業効率が落ちるため、現在はディスプレイを3つ併用しています。そのうちの2つは目線の動きが楽になるよう縦に設置するといった工夫をしています(笑)

あとは、マウスとかですかね。Macを使っており、トラックパッドが付いているのですが、その日の気分でトラックパッドを使うかマウスを使うか決めたりしています。

 

--今後はどういった働き方をされるのですか?

正直、このまま永久にフリーランスでいるかどうかは自分でもあまり決めていません。ただ、自分の仕事の核としては「ユーザーに喜んでほしい」ということで変わらないです。自分が開発に携わった製品やサービスが世の中に出て、それを手に取り、使ってくれるユーザーの喜ぶ顔をイメージしながら仕事をし続けたいです。

あとは、今あるスキルも将来的にはどんどんと使えなくなっていくと思っています。なので、学習も持続的に取り組んでいきたいです。

 

世の中がフィーチャーフォンからスマートフォンへシフトしていく中で、自身も大手家電メーカーからフリーランスへと転身した川村さん。「ユーザーに喜んでほしい」「クライアント様に対しては、ちょっとおせっかいなくらいがちょうど良い」という言葉が印象的でした。

現在も、スマートフォンアプリ開発を中心にお仕事を受注しているとのことです。ご興味がある方は、ぜひ川村さんのプロフィールをご覧くださいね。