恵比寿のグルメフェス開発を続けて3年。エンジニアの複業で大事なのは1人より複数


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複業はお金を稼ぐ以上のプラスが得られる、と語るのは、クラウドワークスでエンジニア兼プロダクトオーナーとして働く飯田意己さん。人生100年時代と言われる 今、「どのようにキャリアを築いていくか」は誰にとっても大きな課題です。そのような中にあって、飯田さんは複業でスキルアップや世界を広げ、前向きに、また純 粋に、自分の仕事の満足度を上げたい、と考えています。その想いを詳しくお聞きしました。

ちゃんとキャリアを積みたい

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--飯田さんの本業は、エンジニア兼プロダクトオーナーとして、クラウドワークスのサービス改善や新規開発に取り組んでいる、と伺っています。では、どのような複業に取り組んでいるのですか?

2015年から毎年、秋に開催されている『恵比寿の料理人が考える!ヱビスビールに合う逸品グランプリ』のサイト開発を担当しています。Webメディア『恵比寿新聞』の編集長から、恵比寿でおまつりのようなグルメイベントをやりたいので、そのサイト開発をやってくれないか、という依頼を受けたのがきっかけでした。恵比寿エリアの飲食店がヱビスビールに合う逸品を提供し、Web投票でグランプリの店舗を決めるというものですが、年々、イベントの規模が大きくなっていて、第3回となる今年は過去最多42店舗が参加し、過去最長46日間の開催になりました。

この仕事はイベントの開催に合わせ、夏から秋にかけての単発的な複業なので、ほかにもう1つ、スタートアップのプロダクト開発を複業として継続的に続けています。

--複業を始めた理由について教えてください

本業では、サービスをどう改善していくかを考える立場なので、自分でコードを書く機会が減りました。ただ、もともとエンジニアからプロダクトオーナーになった経緯があるので、手を動かさないでいると、どんどんコードが書けなくなってしまう危機感があって……。やはり、開発に携わるメンバーと同じ目線で話しながら、意見をキャッチアップできるスキル向上や知識の習得は怠らないようにしたい。その機会を得るための複業と考えています。

たとえば、クラウドワークスでは様々なOSS(オープンソースソフトウェア)を使っていますが、会社でほかの人が導入した仕組みを、自分でゼロから構築し直してみたらどうなるんだろうと考えることが多いです。普段何気なく使っているシステムであっても、そのコアとなるところの仕組みをひも解いて、自分の理解に落とし込む、というのは、エンジニアとして大事なことだと思っています。そういったところを実際、複業で試してみると、本業のシステムがどのように動いているのか、よく理解できるようになります。

--複業を始めたころ、困ったことや難しかったことはありますか?

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引用:ヱビスビールに合う逸品グランプリ

そもそもは本業で使い始めた「Ruby on Rails」の習熟度を上げるために複業を始めたのですが、最初は慣れずに、いろいろと初歩的なミスもありました。たとえば、『ヱビスビールに合う逸品グランプリ』で使う本番のインフラはHerokuというPaaSを使っておりますが、Heroku上ではDBにはPostgreが推奨されています。ローカルの開発環境では当初あまり考えずにMySQLを使ってしまっており、DBに依存するSQLを書いてしまったことで、本番でエラーが起きてしまうといったこともありましたね。

他にも、初年度はお店の情報を入稿する管理画面を作る時間的な余裕がありませんでした。仕方がないのでソースコードに情報を直接書いてそのままデプロイしたり、お店の写真を自分でトリミングして調整したり……。このときは工数が膨大で非常に辛かったですね。

--それは、かなりのドタバタでしたね…。この経験で学んだことなどはありますか?

RailsはWebアプリケーションを立ち上げるという観点では比較的簡単かつ素早く習得できるフレームワークですが、細かい要望を正しく実装に落とし込むにはそれなりにコツをつかむ必要があると思っています。初年度の反省を生かし、2年目(2016年度)には、リファクタリングを重ねながら自分専用の管理画面を作りました。3年目(2017年度)には、運営も使用できる管理画面を作り、工数を大幅に削減できました。実際に自分が使いづらいと思うところをコードで解決していくことで運用と実装を一貫して考える力がついたと思います。

--なるほど。他にはどうですか?

エンジニアが複業をする際には1人ではなく、誰かと一緒にやったほうが良いですね。自分の場合、たまたま本業に支障が出るようなことはありませんでしたが、仮に複業の仕事で大きなバグが発生してしまった場合、できる人が自分だけだと大変なことになってしまうので…。その点、誰かと一緒にやっていれば、リスクを減らせると思います。

あとは、クライアントさんとしっかりコミュニケーションを取れるようにすることだと思います。とくにスコープの認識のずれは請負で仕事をする際にはスケジュールに致命的な影響を与える可能性があります。複業ではなにかあった時のリカバリーは、確実に本業に支障が出てしまうので、そういった事態にならないように普段から気にかけておく必要があります。

自分の価値をストイックに問う

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--手を動かす場として複業が役に立っている、というお話でしたが、他に何か本業に良い影響を与えていることはありますか?

『ヱビスビールに合う逸品グランプリ』のサイト開発ではないもう1つの複業は、メディア系の事業です。本業とは違う業種の仕事に携わると、課題に対するアプローチの仕方が違うなど新しい発見があります。「なるほど、こういう観点があるんだな」といった視点の広がりは、本業のプロダクトオーナーの仕事に役立つことだと思います。

--複業するメリットはどのような点だと考えていますか?

自分の市場価値を高めることですね。1つの会社での評価軸、というのは限定的だと思っていて、例えば今の会社で評価されていても、ほかの会社で試したら全然大したことがなかった、という可能性はあるわけですよね。そういった自分の実力を、肌で感じられるのが複業の良いところだと思います。

--飯田さんのお話を聞いていると、ストイックだなと思います。

やっぱり不安になるんですよ、自分がちゃんと価値を出せているのか、って。だから、なるべく多くのところで実力を試して、「あっ大丈夫だ」みたいなものを確かめたいのかもしれません。

会社に頼らず、1人でも稼げるスキルを常に作っておくのは、これからの時代、特に大事なことだと思います。そういう意味で、様々なところで評価されるエンジニアになりたいですし、特に子どもが最近生まれたので家族を養う責任も感じています。

クラウドワークスは複業を解禁していますし、いろいろなコミュニティに参加したり、本業とは違うところで何か別のアウトプットを出したりしている社員が多い気がします。そういう中で刺激をもらって、自分のこれからについて考える機会は多いですね。

--複業によって世界が広がったような経験はありますか?

はい。複業でほかの会社のプロダクトに関わっていると、クラウドワークスで使っていない技術を使っていることがあって、何かしら発見があるのが面白いです。単純にエンジニアの好奇心として、いろいろなプロダクトを見てみたい、というのも複業のモチベーションになっています。

今後はワークライフバランスも課題

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--複業でも満足度の高い働き方が実現できているようですが、一方で課題に感じていることはありますか。

今複業を2つやっていて週末や平日の夜の時間を使っていますが、結構、いっぱいいっぱいです。まだ1歳にならない子どもがいるんですが、今後、自由に使える時間はさらに減っていくと思いますし、今のような時間の使い方で複業するのは難しくなるのかな、と思っています。その時に、どうすれば満足度の高い働き方を維持できるのか、というのは今から考えているところです。本業での責任もどんどん大きくなっているところなので、複業とのバランスをどう保っていくか、というのはこれからの課題だと思います。

--これから複業を始める方に伝えたいことはありますか?

単純にお金を稼ぎたいのか、それともキャリアアップのためなのか。複業の目的は人によって違うと思います。そのような中で私が複業をおすすめしたい理由は「会社以外の人と、会社以外の場所でつながれる」ということです。会社に勤めていると、気づかないうちに内側の世界に閉じてしまっていることがありますから。

でも、複業を実際に進めるには行動力が必要なので、いきなりは難しいと思ったら、クラウドソーシングを使って仕事を受注してみればハードルが低いのかな、と思います。初めての仕事を試してみるのも良いですし、本業と似た仕事でも、新しいクライアントさんとどのように信頼関係を築いていくか、といった経験はとても勉強になることなので。複業で、お金を稼ぐ以上のプラスが得られる、というのはぜひお伝えしたいです。

また、複業で他の会社と仕事をする中で、実は自分の会社が恵まれていることに気づく場合もありますし、逆に「全然ダメだ」と転職の決心がつくケースもあるのかな、と思います。複業をするのとしないのでは、そのような判断基準が全く違ってくると思うので、自分のキャリアを考える上では、とても良い経験になると思います。とにかく一度やってみる、ということをおすすめしたいですね。

取材・文:吉岡名保恵

飯田 意己(いいだ よしき)

大阪大学基礎工学部電子物理科学科エレクトロニクスコース卒業。Web制作会社を経て、2015年からクラウドワークスに入社。エンジニアとして新規サービス立ち上げのプロジェクトに複数携わったあと、現在はプロダクトオーナーとして働く。